デビルウィスパー121
ゆっくりと眼を開けるのと同時に、オレはその内から思念を放った。
(お目覚めの気分は如何かな?)
身体を起こすのと同時に皮肉っぽくオレは囁く。周囲はもう暗く、幸一はまず明かりをつけた。鏡に映る自身の顔はここ二日でずいぶんやつれている。
(おいおい、もう動いてもいいのか? クックック)
しかし、オレの忠告を聞かず、幸一は寝巻きのまま、ふらつく足取りで階段をおりて行く。そして、階下の居間に蛍光灯がついていないのに気付き、眼を細める。
居間の蛍光灯をつけるが、そこには誰もいない。
(ああ、そう言えば女は買い物に行くと言っていたな。お前に栄養のあるものを食べさせてやりたいんだとさ。何せあの女の料理は食い物じゃないからな)
テーブルの上にも女の書き置きが残されている。もっとも、カタカナとひらがなの混ざった、解読には一分以上を要するであろう幼稚園児以下の粗雑さのメモだが。