デビルウィスパー133
願うような声を最後に、電話が、切れた。
幸一は青い顔で寝巻きを脱ぎ、着替えを始める。
「幸一! 三桜さんを迎えに行くのなら、僕が行くよ! そんな体じゃ」
脇で身振り手振りを交え説得しようとするが、幸一は俊也の言葉を聞こうとはしない。
コートを羽織り、部屋を出ようとすると、
「あくまで推測だが……事の顛末は大体、わかった」
探偵は厳しい面持ちで幸一の行く手を阻むように立ち塞がった。
「そう、なのか?」
探偵の心に秘めた思惑を、オレを通して見た幸一は静かに頷いた。
「なら……もう、手を引こう」
会話の意味がわからず、俊也は互いを見比べるが二人は互いの眼を見つめている。
「お前はよくやった。顔も知らない連中のために、それこそ命懸けでよくやった……だから、もういいだろう?」
探偵の心に見えるのは、言い様の無い悲しみという、オレとは縁の無い感情。
「俺に接触してきた奴等に、後は任せよう」
幸一は何も答えず、無言で探偵を見つめるのみ。
「……もう、身も、心も、傷つける必要はねえだろう?」
だが、幸一はそっと探偵の体を脇に押しのける。