デビルウィスパー135
冷たい空気を吸う度に激痛が走っているのか、脂汗を垂らしながら幸一は歩を進める。
これは、オレにとってもマズイ。あの吸血鬼は、夜には遭遇したくない相手。
オレは幸一をどうにか翻意させようと思念を紡ぎ続けていた……が、それも徒労に終わりそうだ。
(これが最後かも知れん、聞いておこう。どうして行くんだ? オレが解放されても、確実に仕留められる相手だと思ったのか?)
そう、オレが考えた中では、これがもっともありそうな考えだ。人間と言うのは総じて生に執着する生き物……だが、こいつの場合は完全に別だからな。今までも何度死を望んだか。今回が長年の願いを成就する最高の機会と思ったか。
(答える義理など無い……説明しても、お前には理解できん)
……いつになく、挑発的な台詞だな。
(身の安全を図るなら、俺に協力しろ。無論、無条件でだ)
翻意させるのはやはり無理か……良いだろう。今回だけは、協力してやる。
しかし、よく見ておけ。
この満月がお前の見る、最後の月になるかもしれんぞ……