デビルウィスパー138
気付くと、少々眩しい明かりが眼に入った。眩しさに思わず横に首を倒すと、
「あ……世良さん、彼女、眼を覚ましましたよ」
確か―幸一の友達、俊也君だったかな―がいた。その脇には探偵の世良さんもいる。
「……そのまま寝てろ。あんた、結構無理してんだろう?」
どうにかして身体を起こすけど……幸一が見当たらない。キョロキョロ周りを見ても……下にも気配が無いし。
「幸一は?」
「あいつはちょっと用事があるそうだ。外に出かけていった」
世良さんは何でも無い口調で、極々普通にそう言った。
でも、そんな訳が……だって、幸一、すごくぐったりしていて、意識もなかったし、顎の他にも骨が折れていたはずだし……
私は、俊也君に眼を移した。ジィ、と見つめる……明らかに、視線を逸らそうとしているのがわかる。何か、私に言いたくないことがあるに違いない。
「幸一は、どこ?」
沈黙が、部屋に満ちる。
俊也君はどうしようと、という具合に世良さんに目配せするが……
「……俺達にもわからん。電話では昨夜の場所に、とか行っていたが」
世良さんは力無く首を振る。でも、私にはそれだけで充分だった。あそこだ、昨日、吸血鬼と戦ったあの広い場所。
「ちょ、ちょっと! アストさん!」
「おい、そんなゾンビみたいな顔色で無茶すんな!」
立ち上がろうとした私は、でも立ち上がることも出来ず、床に落ちてしまう。