デビルウィスパー140
瞳に映るのは過ぎ去った、取り返しのつかない過去?
「でも……アストさんがここに住み始めてから……あいつの顔に表情が戻ってきた。ほんのちょっと眉をしかめたり、眼を細めたりって些細なものだけど……僕は、明らかに間違っていた……!」
悔恨を一つ残らず吐き出し、叫ぶ。
「あいつに必要だったのは、周を遠ざけることじゃない! 支えてやることだった! ……もう、間違えない。後悔したくない!」
想いの全てを言葉にすると、俊也君は歩き出す。
「行き先はどこです?」
「あ……えと、広い敷地があって、大きな建物があって……でも夜は暗くて……」
「……戸崎西高校だな」
反対側の肩を、世良さんがいつの間にか支えていてくれた。
「昨日、原因不明の爆発事故が戸崎西で起こったらしいが……そこだろう?」
世良さんは俊也君に眼を向け、
「お前ん家に、確か車があったな? ちょっとこっそり借りてきてくれ。あいにく、免許は持ってても貧乏探偵でな」
「世良さん……じゃあ」
俊也君と同じ様に私も世良さんに眼を向けると、彼はそっぽを向いた。
「……キー持って来い! それともこいつを担いでくのか? 夜が明けちまうぞ!」
コクコク頷き、俊也君はドタドタと階段をおりて行く。
世良さんはバリバリと頭を掻きつつ、
「クソッ! どうやら俺は師匠以上の命知らずみたいだな……!」
悔しそうに、そう言ったのである。不思議なことに、目は笑ってたのに。