デビルウィスパー123
「あんた、このこと、幸一に言わないでしょうね?」
「まだ殺人鬼が街にいることを幸一に教えないのは、オレにとって多大なメリットがある。今回は、互いの思惑が一致するからな」
あの悪魔は邪悪な笑みを浮かべてそんなことを言っていたけど……いつ気が変わるかわからないし、何より、幸一自身が気付いてしまうかもしれない。それまでには、殺人鬼と決着をつけたい。
「まったく……どうして犯人が二人いるって可能性に気付かなかったのかしら?」
私は自分の迂闊さを呪った。世良さんの言っていたとおり、その可能性が高いと考えた私はこうして殺人鬼の気配を探っている。
知覚力なら、風の属性を持つ私を上回る者はそういない。巧くいけば、先手を取れる。
「問題は……戦闘力よね」
お日様が出てないと、出ている時の半分程度しか力が出ない。朝に殺人鬼が出てくれれば手っ取り早く勝負はつくけど……相手が吸血鬼ではそれを期待することは出来ないし。
かといって、朝に奴を探そうとすれば、探し当てるまで被害がドンドン増えてしまう。
何より……これ以上幸一に負担をかけるとマズイ。本当に『境界線』を超えかねない。