デビルウィスパー141
非常灯の緑の明かりだけが闇に浮かぶ中、後方から吸血鬼は不可視の力を放ちつつ追撃してくる。幸一が跳ぶ度にあいつがいた床は砕け散り、その破片が壁に突き刺さる。
漆黒の彼方から、殺意の灯った赤い眼光が迫り来る。
「逃がさないよ!」
叫びと共に、前方の天井が崩れた。力を幸一には向けずに、天井に放つことで足止めしようというのだろう。
が、甘い。幸一は落石に込められた『意思』を断ち切り、この世界から消去し、逃走経路を確保。更に前方の赤い物体に着目した。消火器だ。それを破壊し、辺りに煙幕を張る。同時に吸血鬼は煙幕に怯み、一瞬ではあったが速度を緩める。
幸一はしかしそこでは仕掛けず、決定的な機会を求め、階段を駆け抜けていく。