デビルウィスパー147
淡々とした物言いはこれから起こる事柄に対し、何かを押さえ込むように聞こえる。何が予定通りなのか。どうせ殺すのに。
「俺は、お前を殺す」
しかも、何に対してそんなに時間をかけている。まるで狙いを定めるように色素の反転した両目を細めて。
何かが見えているのか。彼はその眼をカッと見開き、胸元にある何かをつかんだ。
あの特殊な力の前では、この身体でも一撃で葬られるに違いない。あたしは……どうしたの?
何も起こらない……いや、なんか頭が先程よりずいぶんスッキリしてきた。
彼は何かをつかんでいるのか、その腕を痙攣させ、爪を吹き飛ばし……血をダラダラ流していても離そうとはしない。それが、あたしの命なのだろうか?
「お前だけを……『渇き』だけを消し去る……三桜は返して貰うぞ!」
あたしを……返す? どういう意味?
「ククク……馬鹿が……本当にそんなことが出来ると思っているのか?」
彼の隣りには、例の浅黒い肌を持つ男が立っていた。
「確かにそうさ。吸血鬼の本能に、そこの小娘はなけなしの精神力で逆らっている。理論的には一つの肉体に意思が二つある、と言えなくもない」
だが、と男は何がそんなに面白いのか、笑みを深くした。
「しかしあの天使の女とは、今回は根本的に違う。あの女の場合は神によって『意思』が完全に封じられていたんだ。しかしこの小娘の『意思』は吸血鬼の『本能』と混ざり合っている。殺せたところで、小娘の死は確定的だ!」