デビルウィスパー153
哄笑が、闇に流れる。彼女は俯き、世良さんは悔しげに歯を食い縛り、私は絶望のあまり、床に崩れ落ちそうになり……
その中で、ただ一人、あの悪魔に向かって、一歩、進み出た者がいた。
「……オレが言ったことが、理解できんのか、俊也?」
「アストさん。僕を、あいつの魂に飛ばして下さい」
彼の眼光に、絶望は無かった。ただ、強い決意を宿すのみ。
「いや……お前が一番よくわかっているはず。その行動に勝算は皆無なことを」
悪魔の怪訝そうな問いに、俊也君は静かに、でも確かな意思を込めて答えた。
「可能性がゼロでも、僕は行く。見捨てるなんて、嫌だ」
それだけを告げると、俊也君はこちらを見る。
「……奴が言うように、勝算は全くありません。だから、僕を送ったら」
「……精神を送るのは、私が幸一の魂まで飛ぶという意味なの。必然的に、私は行くの」
俊也君の忠告を遮りつつ、私は精神の集中を始めた。蒼白い光が私を包み始める。
「肩に手を置いて。そうすれば私に同調するから」
私の右肩に俊也君が手を置くと、
「あたしのせいで、こうなったんだもの……ちゃんと、謝りたい……」
吸血鬼の彼女は決然と顔を上げ、私の左肩に手を置く。
「おい、覚えとけ」
世良さんが、私の前に進み出て、その左手を俊也君の手の上に置き、悪魔を睨む。