デビルウィスパー156
手を伸ばし、叫ぶがその足は動かない。
(当然だろう? あいつ等と同じ場所に行けると思うのか? あいつ等を殺してしまったお前に、そんな資格があると思うのか?)
オレはゆっくりと、あいつの耳から心へ、絶望と罪を流し込む。
(ある訳がない。お前はしかるべき場所で罰を受けねばな)
膝を突き、意思の光を完全に失った幸一の瞳を確認し、オレは告げた。
(そら、そこがお前が、咎人が向かうべき場所)
『絶望の断崖』を指し示し、誘導する。幸一は糸が切れたような動きで立ち上がり、
「幸一っ!」
……同調に成功したか……運の良い奴等だ……が、呼び掛けにも幸一は答えない。
「少しばかり遅かったな。もうコイツはオレのものだ」
「幸一、そっちに行っちゃ駄目!」
「九条君!」
「おい! 聞いてんのか?!」
「幸一! 僕達はこっちだ!」
幸一の瞳は完全に光を失っている。もはやどんな言葉も奴の心には届かん。顔も向けずに『絶望の断崖』に歩き始めている。