破れたカーテン

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デビルウィスパー157

デビルウィスパー158

「お前はわかっているだろう、俊也? 生きる意思の無い人間が、どうして生きようなどと思える? 自分の存在をどうでもいいと思っている奴が、どうして生きていける? 自分を大切にせん奴が、自分は他者から大切にされていると思えるか?」

 俊也もオレの言葉に反論出来ず、幸一に向けるべき言葉が出てこない。

 人を殺め過ぎた反動だろう、自分に生きる価値が無いと思うのは。そんな人間に、どうして生きる気力を持てと言うのか!

 だが俊也が掛けるべき言葉を探していると、吸血鬼の女が悲痛な声を絞り出した。

「九条君! あたしは……あたしは生きるよ! たくさん、たくさん、関係の無い人を殺したけど……身勝手だって言われるだろうけど……あたしが死んでも、殺してしまった人達は還ってこないんだもん! 九条君が言ったように、罪を償う道をみんなと探すよ!」

 そして、大きく息を吸い、涙声で問う。

「なのに、九条君は逃げるの? 九条君が死んだからって、殺しちゃった人達はそれで納得するの? ねえ!」

幸一は足を止めた。一瞬、ちらりとだけ奴等の方を見るが、再び歩き出す。それだけでは、翻意させることはできんようだな。

吸血鬼の口上は、悪魔のオレにはわからんが、人間の倫理観としては真っ当なものなのかもしれん。しかし、幸一は他人にはそう言えても、自分には言えん。そこがあの吸血鬼との大きな違い。

「幸一! ……勝手なことを言わせて貰うぞ!」

 俊也はさんざん考えた挙句に、本心をストレートに告げる決心をしたようだ。

「僕は、お前に生きていて貰いたい! たとえどれだけの人が犠牲になってもだ!」

 ……足を止め、首だけをこちらに向ける。光を失った義眼めいた眼を向け、問う。

「……お前が、殺されてもか、俊也?」

「……!」