デビルウィスパー125
建物の玄関に腰掛け、私は月を見上げつつ物思いに耽っていた。
「やるしかない……ってのはわかっているけど」
……背中がやけに寒い。今までは幸一が後ろを守っててくれるか、進んで前に立ってくれていたんだけど……
『清算』前は、一人で戦ってきた……けど、あの頃って、自分の考えはちっとも反映されずに行動していたからなぁ……そもそも、こういう戦いって、苦手だし。
……幸一は、あの悪魔を殺す目的で襲ってくる奴等に、いつも一人ぼっちで戦ってきて、怖くなかったのだろうか?
私に『近づくな』と言ったように、いつもいつも周りを遠ざけて、一人ぼっちでいて寂しくなかったのだろうか?
……そんなわけない。怖いし、寂しいに決まっている。でも、それでも戦ってきたのだ。
たった一人きりで。
「だから、私も引く訳にはいかないのよ……!」
私は立ち上がり、力を集めて槍を産み出し、建物の屋上からこちらを見つめるそれに眼光を叩きつけた。背から黒く染まった翼を広げることで、大気を極限にまで研ぐ。
手加減無しの一撃を、警告も無しに敵にぶち当てるために。